Title:Cantata #147 カンタータ147番
2024/9/11
キングサイズベッドを貰った時、一番喜んだのはレンだった。それまでクイーンサイズのマットレス床置きだったが、レンはこの正方形を、自分の陣地と決めていた。だからベッドはまさに自宅。四畳半一間を、手に入れたようなものだった。
四畳半の家主となったレンは、ここで毎晩寝る人間どもも含めて、全て自分の客とみなし大歓迎した。ウチは基本的に一年中暑く、何かかけて寝る習慣がない。猫、人、入り混じって好き勝手な方向へ雑魚寝。あたかもサバンナのライオン一家が昼寝をしているようだ。
この地帯に純白のベッドカバーを買った。レンは雪原を眺めるように、目を細め領土を見渡す。
朝は人間の介助がいるルーティンをこなし、急いで四畳半へ戻る。猫が神と仰ぐ、朝日を浴びること2時間。毛皮は干し草の匂いになり、オキシトシンを溜め込んだ猫は、人間の万能薬となる。
光を受ける姿にはバッハのカンタータ147番が似合う。副題は「光よ、猫の喜びよ」と猫バージョンで言い換えておく。
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