Title:Time Goes By 路上の変遷
2024/10/31
交差点に立つと、脳裏にタイムラプス映像のような目まぐるしい景観の変化が見える。微動だにせず立ち尽くしていた公衆電話の役目が、20世紀と共に、ほぼ急激に終わった。路上から静かに撤去された跡には、もう電話は戻って来なかった。
新聞や雑誌、ガムやジュースを満載していた小屋キオスクも、音を立てて消えかけている。こちらは不要になった訳ではなく、ビルの1階に組み込まれて行った。
公衆電話とニューススタンドに代わり、公道へ現れたのは、奇しくもトルコ語起源の東屋を指すキオスク。タッチパネルから情報を得る多機能スタンドボードは、同じ呼称でも小屋とは似ても似つかぬモノリスの塔として、路上に返り咲いた。
この通称・Wifiキオスクは、意外な人々に利用されている。電動バイクの配達人、携帯のバッテリー切れに見舞われた旅行者。
何より路上生活者にとっては、彼らのリビングに近代的な便利グッズが投げ込まれたのだから、すっかり文化水準が底上げされている。そのせいか、最近のホームレスは妙に明るく、元気がいい。
Gicleé ジークレー
52th Street East River 2024
今井庸介
不適切なコメント、またはスパムとして報告しますか?
不適切なコメント、またはスパムとして報告されたコメントArtgeneスタッフが削除する場合がございます。
報告する 閉じる